家について考える

002 賃貸か?購入か?①

不動産の仕事をしているとかなり頻繁に聞かれる質問の一つです。実は突き詰めてしまうと答えは「人それぞれです」が最適解ではないかと思っています。しかし、それでは話が進まないので、オーソドックスな考え方からお話ししていきたいと思います。唐突ではありますが、仮に毎月の家賃が10万円のお部屋に35年間住まわれた場合、その総支払額は4,200万円になります。実際には更新料があったり、途中で少し広いお部屋に引っ越されたり、普通に考えればもう少し費用は上がるケースの方が多いものですが、あくまで例え話としてお付き合いください。この4,200万円ですが、当然家賃ですから1円も返ってくることはありません。対して購入の場合をシュミレーションしてみます。月々の支払いが同じ10万円程度になるローンを想定してみますと、3,000万円の物件を金利2%、35年ローンで購入した場合、月々の支払は10万円弱、35年間の総支払額は約4,174万円となります。さて、後者は不動産を購入していますから35年経った時点で、手元には不動産が残っています。もちろん、年数を経て劣化はしているでしょうから購入時点程の価値は残っていない可能性が高いでしょう。しかし、仮に価値が半分になってしまったとしても、1,500万円相当の資産が残っていることになります。資産が「0」か「1,500」か、どちらが良いでしょうか・・・?と、ここまでが最も一般的な不動産屋さんの営業トークです。単純にここまでの計算だけをみれば購入しない理由が見つかりません。しかし、賃貸も「状況に応じた住み替えが簡単」であったり、「購入に比べ中心部の一等地に暮らすハードルが低い」など、メリットもたくさんあります。若くライフスタイルが流動的な間は賃貸のメリットも大変魅力的なものなのです。冒頭で「人それぞれ」と書かせて頂いたのはその為で、実は私自身、賃貸のメリットのほうが大きく感じる間は賃貸で良いと考えています。ただ、「将来にわたってずっと賃貸」というのはそれなりにリスクがありますし、「購入することのメリット」はこのほかにもいくつか挙げることができます。この「リスク」と「メリット」については、次回以降もお話しさせて頂きますので、ご自身の現状には何が最適なのか、検討のヒントにして頂けますと幸いです。ジョンを明確に家を買うにあたって考えるべきことは多岐に渡ります。しかし、まず最優先に考えるべきは「理想の将来」です。少し噛み砕くと「理想とする将来を実現する為には、どのような家を買うべきか」ということです。例外もあるかもしれませんが、基本的には「家を買うこと」は、自分が目指すライフスタイルを実現する為の手段だと言えます。中には「家を買うこと」そのものを目的としている方もいるのですが、将来のビジョンがあいまいな方と明確な方では、将来的な満足度に差が出やすいように思います。数年、数十年と過ごす中で、ライフスタイルは年々変わっていきます。転職なさる方もいらっしゃれば、ご結婚、お子様の誕生など、様々なライフイベントによって最適な住まいは変わっていきます。例えば、単身やご夫婦お2人であれば、多少手狭でもアクセスのよい中心部が便利です。しかし、子どもが生まれれば保育園の有無や、ご両親宅との距離によっても利便性が変わりますし、行政の補助や学区など今までは考慮しなかった条件が浮上してきます。理想的な暮らしのイメージがあいまいなままですと、マイホーム購入後にライフスタイルの変化が起きた時に「こんなはずではなかった」ということが起きやすいのです。その為まずは、「将来どんな暮らしをしたいか」できるだけイメージをして頂き、その実現に必要となる住まいはどのようなものか考えることが重要です。さて、理想のライフスタイルがある程度定まっている方でも、「購入」という選択は非常に大きな決断を伴います。そう簡単に決められるようなことではない理由としては、やはりお金に関する問題が大きいと考えられます。家は人生において最大の買い物の一つです。多くの方は多額のローンを組まれますので、そういった負担を思えば「まだ賃貸でいいや」と思われるのも無理からぬことです。しかし、もちろん賃貸の方が良い方もいらっしゃいますが、適切な計画にのっとった購入は多くのメリットを得ることが可能です。よく聞く話としては、「賃料はいくら払っても返ってこないが、ローンは資産になる」というところでしょうか。当然、無理のない返済計画であることが前提ですが、ちゃんと資産価値が保たれる不動産を購入できれば、ローン完済後には不動産が資産として残ります。次回からはこの「賃貸か?購入か?」をテーマに掘り下げたお話をしていきたいと思います。